真夏のフィルハーモニー

7月21日(sat)にリリースのスケートボードマガジンSbの新刊"skateboard photogenic"。その余韻をジャックするかのように、Sbのホームページでは"FILL"HARMONYが展開。昨年7月、24時間限定でアップされたアーティスト展(Sbホームページ上)の第二弾になる今回はimaone、QP、SHOHEI、SUIKO、SYUNOVEN、TENGAoneの6人のアーティストによる5日間に及ぶSb Webの壁ジャック。コンテンツのすべてを埋め尽くす、まさに"FILL"な個性と個性がぶつかるハーモニーをぜひご覧下さい。


  • Sb"FILL"HARMONY Vol.2 スケジュール -

■プロローグ:7月26日(fri) 正午 〜 29日(sun) 正午

■"FILL"HARMONY Vol.2:7月29日(sun) 正午 〜 8月3日(fri) 正午

■エピローグ:8月3日(fri) 正午 〜 4日(sat) 正午

http://www.sbskateboardjournal.com/ にて。

そして。

Sb"FILL"HARMONY Vol.2、実はそれにはまだ続きがあります。アンコール?、フィナーレ?、大団円? オーケストラに準えてそれをどう言ってもいいでしょう。とにかく、今度はWebの壁から飛び出して実際のギャラリーの壁を埋め尽くす展示会を開催します。今回のSb"FILL"HARMONY Vol.2で見ていただくアートワークはもちろん、imaone、QP、SHOHEI、SUIKO、SYUNOVEN、TENGAoneの6人のアーティストそれぞれの(オーケストラで言うところの)ソロパート(オリジナル作品)も展示・販売いたします(非売品あり)。ギャラリー内のどこかでSb新刊"skateboard photogenic"と少量ながら取り揃えたバックナンバーも、みなさんのご来場をお待ちしています。真夏の空の下、冷えたビールやナイスコーヒーで喉を鳴らしながら、ギャラリーの壁を埋め尽くす(FILL)アートワークたちが奏でる色と個性のフィルハーモニーをとことんまでみなさんとともにシェアできたらいいなと思っています。
(なお、Sb"FILL"HARMONY Vol.2で見ていただいた各アーティストのアートワークに関しては、保存年数最長250年の超高精彩・広色域のジークレープリントによるリミテッド1、サインとナンバリング入り、額装での展示・販売になります)


期間:8月11日(sat) 〜 8月19日(sun)
※オープニング:11日(sat)・12日(sun)
※クロージング:18日(sat)・19日(sun)
時間:13時 〜 19時
場所:深川ガレージ
〒135-0033 東京都江東区深川2-2-3-1F

URL:www.dearworld.jp/space

企画:Sb skateboard journal and studio imaone
協力:株式会社 Urban Camouflage/株式会社 大村画荘/株式会社 グラフィック ジークレー・ド・グラフィック/SINGHA BEER/深川ガレージ/12 cafe

  • Intro -

盛夏がやってくる少し手前の暑い日。陽光を大きな窓から取り込んだ喫茶店のテーブルの上に並んだ2杯のアイスコーヒー。氷山のように尖った氷は時々静かにゆれながらグラスに結露をつくった。ストローに口をつける一人は絵を描く。煙草をくゆらせる一人はエディターとしてページをつくる。どこかの壁でその絵を目撃したこともあるかもしれない。誰かの本棚でそのマガジンをパラパラしたこともあるかもしれない。ただ、それまで接点はなかった。アイスコーヒーを並べ、ともに去来したものは面白いセッションができる何かを持っているのではないだろうかということだけ。違うフィールドに在住する者とセッションする場合、そこに「面白いと感じるものがあるかどうか」「敬意を持てるものかどうか」が大切になってくる。それは比較的近いところにいるか、遠いところにいるかの話ではなくて、ましてやどちらにイニシアチブがあるかどうかでもなく、フラットに見たものから受けるインスピレーションそのものが大切になってくる。夏空の下の喫茶店セッションから、何かがはじまった。はじまる予感があった。

ストリートには様々なトピックが転がっている。スケートマガジンであるSbの目線で言うならば、スケートボードがストリートで哭かすウィールの音に振り向くのはなにもスケートボーダーだけではない。そして、スケートボーダーはスケートボードを本望としながらも、それ以外の様々なトピックにレスポンスしたり吸収したりしてプッシュし続けている。スケートボードにピントを合わせてページを構築するのは当然だとしても、スケートボードそのものだけにしかピントが合わないわけではない。そこから漂ってくるもの、そこに魅せられた人間、さらには一見まったく繋がっていないようなものまで、スケートボード、しいてはストリートのトピックへと帰結する。スケートボードにはそれだけの幅があり、自由があり、可能性がある。ストリートにはそれだけのトピックがあり、自由があり、厳しさもあり、突発力がある。ストリート上で起こる様々なトピックと人間をひたすら"見続ける"幣誌と、圧倒的なオピニオンを以てしてアーティストが放つ強烈な個性(色)がセッションすることは、在住する場所的に違和感があるようでトピック的に違和感がない気がした。

そして、一見して何の脈略もないような、突発的なインスピレーションこそが面白いトピックかとも思えた。Sbのグラビアページには煌めくスケート写真と並んで彼の絵が出現することもあった。彼の描く絵にSbのロゴが出現することもあった。だからといって密接ではなく、たがいのフィールドを踏み越えることもなければ明文化したルールもなく、しかしフェイドアウトすることもなく、空が夏らしくなってくる頃にアイスコーヒーは2杯並んでいっただけ。2012年。最初の夏空から8年が経っていたそのとき、Sbのホームページに素敵なアートワークが並ぶことになった。それはストリートのスケート写真にグラフィックが映り込んでいることの延長線にあるようでもある。

Sbがimaoneにコンダクト(オケの指揮者)を委ね、集まったQP、SHOHEI、SUIKO、SYUNOVEN、TENGAoneというアーティスト陣がSbの壁を埋め尽くす。アイスコーヒーを並べたセッションがいつしか気鋭のアーティスト陣が参加するハーモニーの音響のように奏でられることになったのだ。夏空がアイスコーヒーに浮かぶ氷を溶かすように、30枚の熱を帯びたアートワーク(光景)が人いきれで蒸すストリートの喧噪の間をハーモニーのように溶け流れていく。だから、Sb "FILL" HARMONYというタイトルもしくはイベントは、ボムでもなくジャックでもなく、タグでもなく、ましてや展覧会でもなく、フィルハーモニーがふさわしい。

ナイスコーヒータイムを。